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第180話 止まった泣き声

Author: 花柳響
last update publish date: 2026-09-02 06:01:08

「違う」と言うだけで、何が違うのかは説明しない。

 私は膝の上で手を組んだ。手袋の薄い素材が、爪の先で擦れる。

 律は私の正面ではなく、少し斜めに車椅子を止めていた。

「私が欲しかったのは、立派な説明じゃありません」

 隆一がこちらを見る。

「三年前も、今も、あなたはいつも会社の話をします。家の話をします。社員の話をします。私にだけ、私の話をしない」

「栞」

「その名前を呼ぶなら、答えてください」

 声は掠れていた。

 それでも、言葉は止まらなかった。

「二十四年前、あなたは何を引き受けたんですか。赤ん坊ですか。支援金ですか。如月家の体面ですか」

 隆一は、何も言わなかった。

 沈黙が長くなった。私は膝の上の手を一度開いて、また握った。

 私は椅子から立ち上がった。

「もう、答えを待ちません」

 隆一の目が、わずかに開く。

「答えられないなら、それも記録に残ります」

「お前、私を訴えるつもりか」

「必要
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